イカセカイβ.1

Anthropology of Inklings

歌は世につれ世は歌につれ
時代を超えて語り継ぎたいがある


Splatoonのイカ語を解読したりマップの外側や世界観を考察したり
開発中なので常識の範囲で好きに使ってね。
開発の流れではデータ消えたりもするのであらかじめご了承願います

めも くコ:彡相談事とか要望、ネタはここに自由に書いてね もしくは@ikasekai

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連載シオカラ小説 メモ

著:

読み返すのに参照しやすようメモ




シオカラーズの動向を調査している研究員が、イカの世界から極秘文書を入手したと報告があった。
どれどれ、んー……なんだこりゃ……?


 

【プロローグ】
あのラストフェスから、およそ9ヶ月が過ぎた。
夕闇に染まるハイカラシティ。
鮮やかな二色のネオンサイン。
バトルに興ずるイカ達を鼓舞するかのように踊り続ける、シオカラーズのふたり。
今でも鮮明に脳裏に浮かぶ記憶でありながら、遠い昔のことにも感じられる。↙
ラストフェスが終わったあの夜。
「アオリ vs ホタル」の結果は、ホタルの勝利で幕を閉じた。
だが、ふたりの間にわだかまりはなかった。
いつものように、ふたり揃って笑顔でスタジオを後にした。
これからもずっと、何も変わらないと信じて疑わなかった。
そう、あの時は……。(つづく)


   

【第一話】
アオリとホタル、従妹同士のふたりによる、ダンス&ボーカルユニット、シオカラーズ。
ラストフェスをきっかけに、その人気に一層の拍車がかかった。
ハイカラシティのアイドルから、一躍トップスターとなったふたり。
それまでの活動の枠を超えて、多忙な日々を過ごしていた。↙

ふたりはルームシェアをしている。
ハイカラシティに来た直後は、都会暮らしの心細さや、経済的な理由もあって、一緒に暮らし始めた。
それに、物心がついた頃から、ふたりはずっと一緒にいる。
今は都会にも慣れ、収入も安定してきたが、離れて暮らすことは考えもしなかった。↙

プライベートでも仕事でも、ふたりはずっと一緒だった。
しかし、ソロ曲を発表した頃から、次第に単独での仕事が多くなってきた。
アオリは持ち前のキャラクターから、トーク番組やバラエティ番組への出演が増えた。
収録は深夜に及ぶこともあり、ロケで一日部屋に戻らないことも多くなった。↙

ホタルは「スミソアエの夜」で歌唱力が評価され、歌番組や舞台への出演が多くなった。
今までは部屋を出るのも一緒、帰ってくるのも一緒だった。
だが、今は戻る時間もまちまち、オフの日も合わないことが多くなってきた。
ふたりが一緒にいる時間は、以前より格段に短くなっていた。(つづく)


  

【第二話】
その日、ホタルはひとりで部屋にいた。
今日は仕事はないが、来月からは舞台の稽古が始まり、毎日が忙しくなる。
こうやって、のんびりできるのも今のうちだろう。
アオリは仕事で夜まで戻らない。
たまった家事を片付けながら、アオリの帰りを待っていた。↙

こんな時は、ふと考えてしまう。
ラストフェスの決着がついたあの時、アオリはどう思っただろうか?
悔しがってはいたが、それは単に勝負に負けたからだろう。
負けず嫌いのアオリらしい。
でも、ちょっとは自分に嫉妬したんじゃないだろうか?
負けたことを、今でも気にしているだろうか?↙

いや、考えすぎだ。
アオリに限ってそんなことはない。
むしろ、知らず知らずのうちに優越感を感じているのは、自分のほうかもしれない。
勝負に勝って、いい気になっているのかもしれない。
ホタルは、ちょっとだけ自分が嫌になった。(つづく)


    

【第三話】
その日、アオリは携帯電話のコールで目が覚めた。
マネージャーからだ。
予定していた収録が、他の出演者の都合で延期になったらしい。
今日は一日オフだそうだ。
ちょっと拍子抜けしたが、ひさしぶりに休みをもらったのだ。
ラッキーだと思えばいい。↙

部屋を見渡すと、ホタルの姿がなかった。
確か、今日はホタルもオフのはずだ。
時計を見ると、朝の8時過ぎ。
買い物に出掛けるには、まだ早い。
身支度をして、ホタルを探しに街へ出てみることにした。↙

そういえば、近頃のホタルは元気がない。
疲れているのだろうか?
嫌なことでもあったのだろうか?
でも、ホタルの心配ばかりしてもいられない。
ここのところ、アオリも仕事で息をつく間がなく、ちょっと気が滅入っている。
今日は気晴らしに、ホタルを誘って出掛けよう。↙

ホタルはカフェにいた。
ロブと一緒だった。
テーブル席に向かい合わせに座り、談笑している。
ロブとふたりは、出身地が近いせいか話が合う。
深く帽子をかぶっていて表情は見えないが、楽し気なホタルを見るのは久しぶりな気がした。
水を差すのはよそう。
アオリはそのまま部屋に戻った。↙

朝食の支度をしていると、ホタルが戻ってきた。
アオリが起きていることに驚いていたが、おはよう、と声をかけると、おはよう、と気の抜けた調子で返ってきた。
いつものホタルだ。
ふたりで朝食をとりながら、ホタルをショッピングに誘った。
ホタルは、ふたつ返事で誘いに乗った。(つづく)


      

【第四話】
プライベートでアロワナモールへ来るのは、いつ以来だろう。
以前通った店や、新しく入った店を巡って、ウィンドウショッピングを楽しんだ。
ひとしきり目当ての店を回ったところで、カフェで休憩することにした。
アオリはアイスレモンティーを、ホタルはミルクティーを注文した。↙

こんな時は、自然と互いの仕事の話になる。
ロケ先での出来事、共演者の噂話。
話題はとめどなく、いくら話しても話し足りない。
アオリは、朝のカフェでのことを切り出してみた。
見てたんだ、と、ホタルは意外そうな顔をしたが、ためらう様子もなく、ロブとの会話について話し始めた。↙

ロブは最近、エビスシューズを辞めたらしい。
ずっと雇われ店長だったが、いつか独立して、自分の店を持つのが夢だったそうだ。
友人の紹介で、次の仕事の目処はついているらしい。
ロブくん大丈夫かな、けっこう軽いとこあるから、と、ホタルは、ちょっと心配そうにしていた。↙

ロブからの伝聞によると、アネモも新しい仕事を探しているらしい。
もともと接客が苦手なので、客と顔を合わさずに済む仕事を考えているそうだ。
最近はカンブリア―ムズでのブキのデコレーションの手伝いが忙しくなってきたので、それを続けつつ、片手間でできる仕事が理想らしい。↙

もしかしてアネモがブキチと……!? と色めき立つアオリだが、それはナイっしょ、とホタルは全否定。
ちなみにブキチは、カンブリアームズ二号店の出店を計画中だそうだ。
最近、新たなナワバリバトルの中心地として、若者が集まる街が生まれているらしい。
商売上手は相変わらずなようだ。↙

そういえば、ここしばらく、アタリメ司令にも会っていない。
忙しくて、こちらからも会いに行けないが、マンホールから顔を覗かせる姿も見かけていない。
タコもおとなしくなったし、おじいちゃんのことだから心配はいらないけどね、と、ふたりは顔を見合わせて笑った。↙

ずいぶん話し込んでしまった。
もう陽が傾き始めている。
そろそろ帰ろっか、そう言い合って帰路についた。
やっぱり、ふたりで一緒にいるのは楽しい。
いや、楽しいという言葉では表せない、特別な感情で心が満たされる。
最近たまっていた心のモヤも、すっかり晴れた気がした。(つづく)


   

【第五話】
その日、ホタルは旅行カバンに荷物を詰め込んでいた。
シオカラ地方に里帰りするためだ。
急ではあったが、三日間の休みをもらった。
この休みが明けたら、舞台の稽古が始まって、休む暇もなくなる。
その前に骨休めをして来いという、事務所の心遣いだろう。↙

アオリも一緒にと考えたが、初日だけ仕事があるらしい。
短い休みを無駄にしないよう、一足先に帰省することにした。
あとから追いかけるから、アオリはそう言ってホタルを見送った。
シオカラ地方までは列車で三時間半。
そう遠くはないが、いつも隣にいたアオリがいないのは心細かった。↙

久々に顔を見せた娘を、両親は暖かく迎えてくれた。
ここは何もない土地だが、穏やかな時間の流れが心地よい。
縁側で陽に当たりながら、日がな一日、都会での暮らしについて話して聞かせる。
両親は、アオリのことも気にかけていた。
もちろん元気、と答えようとして、少し言い淀んでしまう。

ふたりとも自分のことで精一杯だ。
胸を張って答えられるほど、相手に目を向けることができていないと気づかされる。
でも、明日になればアオリもやってくる。
アオリの顔を見れば、こんな小さな罪悪感は消し飛んでしまうだろう。
そう思いながら、ホタルは床に就き、翌朝を待った。(つづく)


   

【第六話】
次の日、ホタルは駅でアオリの到着を待っていた。
しかし、予定の列車にアオリは乗っていなかった。
また寝坊したのかな、そう思って、次の列車を待った。
だが、次の列車にもアオリの姿はなかった。
その次も、またその次も。
ついに夜になっても、アオリは姿を見せなかった。↙

事務所に電話をかけてみたが、昨晩は仕事が終わってすぐに帰ったそうだ。
慌てていた様子だったので、そのままシオカラ地方に向かうものだと思っていた、とマネージャーは答えた。
部屋にも電話をかけてみたが、応答がない。
ホタルは胸騒ぎを覚えた。↙

翌朝、ホタルは予定を早めて、始発でハイカラシティに戻ることにした。
両親には申し訳なかったが、アオリのことが気がかりで、居ても立ってもいられなかった。。
車中も気が気ではなく、スマートフォンでアオリのことを調べる。
しかし、これといった情報は見当たらなかった。↙

ハイカラシティに到着すると、ホタルはまず部屋に向かった。
部屋はホタルが出発した時の、整頓されたままだった。
つまり、アオリが帰ってきた様子がない。
ここへも立ち寄らず、いったいどこへ……?
しばらく考えたあと、思い立つと、ホタルはある場所へ向かって部屋を飛び出した。(つづく)


    

【最終話】
ホタルはタコツボバレーにいた。
アタリメ司令の小屋は、もぬけの殻だった。
室内は荒らされた様子はなかったが、隣にあったウォータードームは砕け散っている。
アオリの姿はなく、手がかりになるものも見つからなかった。
ホタルはもう一度、ハイカラシティに戻ることにした。↙

ハイカラシティは、ざわついていた。
オオデンチナマズが姿を消したらしい。
前にいなくなった時も、いつの間にか戻ってきた。
今度もまたすぐに戻ってくるだろう。
皆はそうタカをくくっているようだった。
ホタルは、ひとり戦慄した。
これは……もしかして、またヤツの仕業?↙

ホタルの目は、戦いを決意していた。
だが、ヤツが相手となると一筋縄ではいかない。
今はアタリメ司令もいない。
それに何より、アオリのことが心配だ。
じきに、アオリがいなくなったことに皆が気づき始めるはず。
自分までいなくなっては、騒ぎが大きくなる。
いったい、どうすれば……。

そうだ、協力者を探そう。
かつてアタリメ司令がそうしたように、腕の立つ若者を見つけて、地下基地の探索を手伝ってもらおう。
しかし、このハイカラシティでは、ホタルの姿は目立ちすぎる。
オクタリアンの存在を知る者は、最小限に留めなくてはならない。
New!カラストンビ部隊の鉄則だ。↙

その時、ふと、アロワナモールでのアオリとの会話を思い出した。
最近、新たなナワバリバトルの中心地として、若者が集まる街が生まれているらしい。
そこなら、きっと腕の立つ若者も見つかるだろう。
行こう、新たな街、ハイカラスクエアへ……!(スプラトゥーン2 ヒーローモードへつづく)