イカセカイβ.1

Anthropology of Inklings

歌は世につれ世は歌につれ
時代を超えて語り継ぎたいがある


Splatoonのイカ語を解読したりマップの外側や世界観を考察したり
開発中なので常識の範囲で好きに使ってね。
開発の流れではデータ消えたりもするのであらかじめご了承願います

めも くコ:彡相談事とか要望、ネタはここに自由に書いてね もしくは@ikasekai

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イカ研究

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タコ堕ちアオリちゃんはとても悪いヤツなので、ホタルちゃんの帰りを待たず先に夕飯を食べてしまいます

著:

金曜の深夜、ホタルちゃんは仕事のトラブルで遅く家に帰る
玄関で靴を脱ぎ「ただいま」と言うが、返事がない
一瞬あの事件が頭をよぎるが、玄関に靴はある
廊下の明かりは消えてるけどリビングから光は漏れているし、音は聞こえる
(アオリちゃんテレビ観ながら寝てるのかな?)と思って足を進める

薄暗いリビングのソファには背を向けたアオリちゃんが座っていた
今夜一緒に観ようと2人で選んだ映画が画面に流れていた
「…アオリちゃん起きてたんね、夕飯は?」
「タベタ」
カタコトな返事と一緒に、スッと指を伸ばした先はキッチンカウンター
一人分の食事にラップがかけられていた
「チンシテ タベテ」

「う、うん 頂くね」
有無を言わさない気迫に押されて、言われるがままに従う
手の込んだポテト料理 ー特別な日に作る自信作であろうー をレンジに入れ、皿が回るのを手持ち無沙汰「眺める
無言のリビングに、楽しげな映画の音声が流れる
今夜は2人の上京記念日でプチ宴の予定だったのだ

(あちゃー…アオリちゃん怒ってるな…)
帰った第一声にゴメンネと言うべきだったな…と自省しているとレンジの音が鳴った
レンジから料理を取り出し、シンクに置かれたアオリちゃんの皿を横目にフォークを取る
なんと声をかけるか頭の中でシミュレートしながらソファへと向かう

アオリちゃんの隣に座ろうとソファの前に来て、ギョッとした
先日タコワサと戦った時と同じ姿のアオリちゃんが座っていたのだ
いや、厳密には同じなのは服だけだ
頭飾りは付けてないし(切り身はタコワサに返した)、お腹のタコ模様は雑な落書きだし、LEDグラスはこの前一緒に買ったオモチャだ

「ア、アオリちゃん?どうしたんねその格好…」
「アタシハ、アオリ デハナイ」
ムスッとしながら続ける
「アタシハ、AORI-chang ダッ!」
ツッコミたくなる衝動をグッと堪える
「…となり座るね」
「………」
口をへの字にしたまま無言の返事
料理をテーブルに置き、腰を下ろす


ホタルちゃんがソファに座ると、クッションが沈み込む
それにつられてアオリちゃんのお尻の下も動くが、身体がホタルちゃんの方に傾かないようピシッと背筋を伸ばしてる
(さーって…どうしたもんかな…)考えながらラップを外すと、食欲をくすぐる香りが解き放たれる
「あ、美味しそう」自然に声に出る

への字になってたアオリちゃんの口がピクリと動く
ホタルちゃんからは見えなかったが、いくらか空気が和らいだのを感じとる
一口食べる
「うん、美味しいねアオリちゃん」
いつもだったら、でしょー?この料理はね…とレシピの解説だったり独自に工夫した事を話す所だ
アオリちゃんは唇を噛んで喋りたいのを堪えてる様だ

アオリちゃんは料理が上手だなー美味しくて幸せだなー、と普段以上に褒めながら食べる
「……デキタテナラ モット オイシカッタ…」ポソリと呟く
「あー…本当にごめんね…機材トラブルで後ろに伸びちゃったんよ…」
「連絡シテクレテモ イイジャン…!」
「えっ?遅くなるってしたっしょ?」

「キテナイモン!」
えぇっ、ホタルちゃんはイカフォを取り出す
履歴を見ると…送信失敗のエラーが小さく表示されていた
あちゃー…つーか分かりづらいんよこのアプリは!
悪態をつきたいが、今はその時ではない
「ごめんアオリちゃん…送信失敗してるの気付かなかったんよ…電話すればよかったんね」

しばしの沈黙
「オリョウリ シテ マッテタノニ…」
「うん」
「キョウヲ タノシミニ シテタノニ…」
「アタシもだよ」
「サミシカッタンダカラ…」
ホタルちゃんはアオリちゃんの肩を引き寄せて、頭を撫でながらゴメンね、と小さく囁く
アオリちゃんも体の重心をホタルちゃんに預ける

「ほら、こんなサングラス付けてたら映画見えてないっしょ?明日は休みなんだし最初から観て楽しもう?」
不意にLEDサングラスを外す
「アッ マッテ!」
アオリちゃんの目は充血して、泣き腫らしてた
(…それでわざわざそんな格好を?)
「あーもー!ミナイデって!」どっち付かずのキャラになった

「ハイハイ、サングラスはもうやめてね」アオリちゃんとおデコをくっ付けあって優しく語りかける
「うウゥ…」
「アタシの帰る所はここなんだから、そんな心配せんね?」
「……うん…」
アオリちゃんがぐりぐりと頭を動かす度に鼻が擦れてこそばゆい
親指でアオリちゃんの目端の涙を拭ってやる

「…アオリちゃんも心配なら遠慮せんと連絡してもええんよ?」
無言で頷いて返事をする
「そうだ、今夜の為に芋酒買ってきたんよ」
背中をさすりながり話す
「明後日からまた仕事なんだし、今夜はたっぷり楽しも?」
「…うん!」
2人は仲直りして、アオリちゃんがネタバレを挟みつつ一緒に映画を観たとさ

めでたしめでたし